【概要】日本高血圧学会は1日、「高血圧治療ガイドライン2014」(JSH2014)を発刊した。家庭血圧の測定回数を整理したほか、降圧目標と治療開始基準を統一した。
改訂は2009年以来5年ぶりで今回が3度目。1日には、JSH2014作成委員会の島本和明委員長(札幌医大学長)が記者会見を開き、改訂の特徴を解説した。なおJSH2014では、不正が問題となっているバルサルタン関連論文はいずれも引用していない。
●授乳期に使用可能な降圧薬一覧を掲載
主な改訂点(別掲)のうち、家庭血圧の評価方法については、1機会の測定回数を整理した。前回は、測定回数を1~3回としながら、評価は1回目の平均値としていた。島本委員長は、「委員の意見が分かれて両論併記になっていた」と説明。そのため欧米のガイドラインと同様に、「1機会原則2回測定し、その平均をとる」と変更。さらに、1機会にあまりに多く測定すると測定の継続率が下がるため、4回以上の測定は勧めないこととした。
降圧目標については、「若年・中年者」の場合を130/85mmHg未満から140/90mmHg未満に変更。これにより、高血圧の治療開始基準(140/90mmHg以上)と降圧目標が一致した。この変更について島本委員長は「降圧目標の緩和ではない」と強調。「これまでの『130/85mmHg未満』は望ましい降圧目標という意味だったが、義務的な意味で浸透してしまった」とし、治療開始基準と降圧目標のギャップを整理した結果であると説明した。
妊娠時の高血圧に関しては、メチルドパ、ヒドララジンに加えて、前回のガイドライン以降に適応拡大されたラベタロール、ニフェジピンの4剤を第一選択薬とした。さらに、日本小児科学会と検討し、授乳期に使用可能な降圧薬も新たに掲載した。
このほか島本委員長は、患者とパートナーシップを築いて治療方針を決定する重要性を強調。特に、治療費について話し合う際に、後発医薬品を使用した場合の費用を患者に提示することを奨励する一方で、先発品と同等の品質とはいえない後発品もあることを指摘。そのため、「5年後の次回改訂までに、日本ジェネリック医薬品学会と後発品のエビデンスを検討したい」との方針を示した。