『成人肺炎診療ガイドライン2024』では,高齢者の肺炎予防策として,インフルエンザと肺炎球菌ワクチンの両接種と口腔ケアを推奨している。
インフルエンザと肺炎球菌ワクチンの両接種については既に確立された予防戦略と判断されたため,新たにシステマティックレビュー(systematic review:SR)は実施せず,前回のSRを引用した。日本人を対象とした3編のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)からのSRにより「すべての肺炎による入院」に対する有意な抑制効果が検証されている。2024年度から定期接種の対象年齢は65歳のみとなり,新たに沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)が使用できるようになった。接種方法としては65歳以上の健常高齢者に対しては定期接種の機会を利用し,23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)の接種を推奨している。高リスク者(特に免疫抑制患者)に対してはより強力な予防方法が求められることからPCV13またはPCV15を接種し,1年後にPPSV23を接種すること(連続接種)を推奨する。なお,今後はPCV20の導入が予定されており,より強力な予防効果が期待される。
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