【概要】中医協は3月26日、2014年度改定のDPC制度の対応案を了承した。保険診療指数の「指導医療官の出向」について、15年度は特例として出向が決まれば実績と認める
中医協(森田朗会長)は3月26日に総会を開き、2014年度診療報酬改定におけるDPC制度の対応案について了承した。今改定では、DPC制度全体の段階的な移行措置に伴う調整係数の基礎係数・機能評価係数Ⅱへの置き換えで、診療報酬が2%を超えて変動しないようにする激変緩和措置を前回の12年度改定と同様に講じることに加え、(1)データ/病床比の運用を明文化、(2)保険診療指数の「指導医療官の出向」について2015年度は特例的な対応とする─などの見直しを行う。
(1)のデータ/病床比は、病床回転率や平均在院日数の短さを示す数値で「1カ月あたり0.875」を下回った場合、DPC制度から退出しなければならない。今改定では数値の算出にあたり「エラーのあるデータを除く」「7日以内の再入院があった場合には前回入院と合わせ1データとしてカウントする」など、定義を明確化した。(2)の保険診療指数はデータ提出指数に代わり新設されたもの。Ⅰ群(大学病院本院)病院の特定共同指導・共同指導における指摘事項が多いことを受け、Ⅰ群について「指導医療官の出向」を評価の対象としたが、2015年度に加算を算定するには、今年4月から指導医療官を出向させる必要があるため、特例的な対応として「地方厚生局が指導医療官の募集を行う際に応募し、採用された者がいる」病院については算定可能とした。
●DPC対象病院は89病院の増加
同日の総会では、4月以降のDPCの算定状況(別掲)についても報告された。対象病院・病床数はそれぞれ計1585病院(2013年4月比で89病院増)、計49万2206床(同1万7225床増)となった。
大学病院本院のⅠ群は80病院で変わらず、「I群に準じる病院」のⅡ群は12年度改定時の90病院から99病院に増加した。新たにⅡ群となったのは35病院。そのうちⅢ群からの移行は34病院で、Ⅱ群からⅢ群への移行は26病院と出入りが激しかった。理由について佐々木健保険局医療課企画官は「Ⅱ群の実績要件のうち『高度な医療技術の実施』を満たせなくなった影響が大きい」と分析した。
また今改定から「機能評価係数Ⅱ」に「後発医薬品指数」が新設されたが、全1585病院中、評価の上限となる指数「0.6」以上の病院が200近くある一方、「0」の病院もあり、病院間で後発医薬品の使用比率に大きなバラツキがあることが分かった。
同日の総会ではこのほか、次回2016年度改定と、消費税率引上げへの対応を検討するにあたり、診療報酬基本問題小委員会を復活させる方針を決めた。現在は実質的にすべての議論を総会で行う形になっているが、基本問題小委で特定の事項についてあらかじめ意見調整を行い、さらに議論が必要なものについては総会で改めて議論を深めることとする。
【記者の眼】中医協は次回2016年度改定に向け、基本問題小委を復活させ2007年以前の体制に戻る。消費税分科会を除く分科会の議論は原則として基本問題小委に報告される形になるため、実質的な議論の場は基本問題小委に移行することになりそうだ。(T)