厚生労働省は6月2日の社会保障審議会医療部会に、へき地などにおける医師が常駐しないオンライン診療のための診療所開設について、5月18日付で通知を発出したことを報告した。
へき地などに住むデジタルデバイスの扱いに不慣れな高齢者に、オンライン診療の受診機会を確保することが狙い。対象地域は、無医地区、準無医地区、離島のほか、地理的な条件や交通事情などで、都道府県知事が診療所の開設が必要と認めた地区とする。開設場所は地区の中心的な場所である公民館や郵便局、通所介護事業所などを想定。開設に際しては、当該診療所のスタッフと管理者が常時連絡を取れる体制を確保することなどが条件として求められる。
開設申請を受付けた都道府県知事は、当該診療所が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、指針)を遵守できる体制を備えているか、実地調査を行って確認。さらに当該診療所の管理者に、①指針の遵守状況を確認した記入済みのチェックシート、②急変時の対応について事前に合意した対面診療が可能な医療機関名―の提出を求める。以降も、概ね1年おきに体制確認を行うとともに、当該診療所にオンライン診療の実施件数の報告を求め、地域医師会などと連携して地域医療に与える影響や、その可能性の把握に努める。
一方、オンライン診療の実施頻度が、「定期的に反復継続(概ね毎週2回以上)して行われることがない」または、「一定の地点において継続(概ね3日以上)して行われることがない」のいずれかに該当する場合は、巡回診療の特例を準用し、診療所の開設手続きを不要とする(前出の実施頻度の基準を超える場合は医師が常駐しないオンライン診療のための診療所開設が必要)。
この場合は診療の実施計画を都道府県知事に提出するが、その際には安全性を確保する観点から、都道府県知事による実地調査、急変時に対面診療を行う医療機関名の提出、概ね1年おきの体制確認―など、診療所開設の場合とまったく同じ対応が求められる。
なお、政府の規制改革推進会議は6月1日にまとめた答申で、へき地等を対象にした今回の取組を都市部などにも拡大することを提言。今後、具体的な検討を進め、23年度中に必要な措置を講じるよう求めている。