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■NEWS 「急性期充実体制加算」の届出、9割が「総合入院体制加算」からの移行―入院・外来分科会

No.5178 (2023年07月22日発行) P.70

登録日: 2023-07-13

最終更新日: 2023-07-13

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診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は76日、急性期入院医療などをテーマに次期診療報酬改定について議論した。この中で前回改定時に新設された「急性期充実体制加算」の届出施設の約9割が、「総合入院体制加算」からの移行であることがわかり、精神医療などの縮小を危惧する声が上がった。

「急性期一般入院料1」の届出施設の中でも特に高度かつ専門的な急性期医療の提供を評価する「急性期充実体制加算」と「総合入院体制加算」はそもそも評価対象が異なるが、併算定ができないため、22年度改定後に「総合入院体制加算」の届出施設がどの程度「急性期充実体制加算」に移行したのかに注目が集まっていた。

厚労省によると、20229月時点で「急性期一般入院料1」の届出がある全1506施設中、「急性期充実体制加算」を届け出ていたのは165施設。そのうち約9割は「総合入院体制加算」からの移行で、同加算の届出は改定前後で395施設から257施設に減った。「急性期充実体制加算」の届出施設の診療実績をみると、「総合入院体制加算」からの移行施設はそうでない施設よりも、小児・周産期・精神医療に関する実績を有する割合が高かった。ヒアリング調査では、両加算の届出施設において22年度改定後に入院の受入体制を大きく変更した事例はないことも判明。今のところ診療科の縮小などは起きていないことが窺えた。

ただし、「総合入院体制加算」の中でも精神科要件があり、最も施設基準が厳しい「加算1」の届出数は改定前の40施設前後から改定後は15施設に減少。この点について猪口雄二委員(日本医師会副会長)は、「重度の合併症がある精神疾患患者を診る病棟が減る可能性がある」と憂慮し、「これらの症例に対応できる特定機能病院や基幹病院を維持するためのDPCのあり方や平均在院日数のあり方を検討する段階に来ているのではないか」と提言した。

■「急性期充実体制加算」の届出施設数に都道府県差異、届出なしも5

「急性期充実体制加算」では都道府県間で届出施設数にばらつきがあることや、5県で届出施設がないことも問題視された。算定要件などの緩和を求める声も一部あるものの、津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、「実施すれば、ますます都市部での申請が増え、都道府県の格差が埋まらなくなる」と否定的見解を示した。

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