中央社会保険医療協議会は12月13日、2024年度診療報酬改定に関する意見をまとめ、武見敬三厚生労働相に提出した。引き上げに慎重姿勢を崩さない支払側、大幅な引き上げを求める診療側の意見を併記した上で、改定率の設定について、厚労相に「適切な対応を求める」と記述するにとどまった。これを受けて政府・与党で今後、来年度予算編成に向けて折衝が大詰めを迎えることになる。
意見はまず、社会保障審議会の医療保険部会と医療部会が12月8日にまとめた「診療報酬改定の基本方針」に基づき、「すべての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた」と記述。
しかし、24年度改定にどのように臨むべきかについては、「次のような相違が見られた」として、12月8日の中医協で各側が表明した意見を併記するにとどめている。
まず支払側については、①患者の負担増や保険料の上昇に直結する安易な診療報酬の引き上げを行う環境にはない、②医療従事者の処遇改善は診療報酬と補助金・交付金との役割分担の整理・効果検証を踏まえた大胆な配分の見直しで実現すべき、③薬価改定では引き下げ分を国民に還元すべき―などの主張を紹介。
これに対して診療側については、①次期改定は医療従事者の賃上げ、現下の食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰というきわめて異例の状況に対応しなければならず、従来以上の大幅なプラス改定が必要、②過去数年の改定とは明らかに異なる状況を乗り切るためには、薬価改定で生じる財源を診療報酬に充当するなど十分な財源を確保する必要がある―などの主張を挙げた。
その上で意見は、厚労相に対して、「これまでの本協議会の議論を踏まえ、令和6年度(24年度)予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を求める」と要請。また、新興感染症への対応や医療機能の分化・強化・連携など、医療を取り巻く様々な課題への対応として、診療報酬だけでなく、補助金、税金、制度改革などを組み合わせた幅広い施策を講じていく重要性も指摘した。