政府のこども未来戦略会議が12月11日に開かれ、次元の異なる少子化対策として「こども未来戦略」の素案が示された。国、地方合わせて3.6兆円に上る「加速化プラン」を実現させるため、その財源として、2028年度までに医療・介護制度の改革を通じて1.1兆円程度を捻出する考えを示した。
改革の具体的な内容は、全世代型社会保障構築会議が年末にまとめる「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」のメニューが中心となる。改革工程の素案によると、24年度は、①介護保険制度改革(利用者負担2割の範囲の見直し、第1号保険料負担のあり方の見直し、多床室の室料負担の見直し)、②長期収載品の保険給付のあり方の見直し、③入院時の食費の基準の見直し―などが挙げられている。
さらに28年度までに検討する取り組みとしては、①医療DXによる効率化・質の向上、②医療提供体制改革の推進(地域医療構想の中長期的課題の検討、地域包括ケアにおけるかかりつけ医機能のさらなる検討など)、③医療・介護の3割負担の適切な判断基準設定等―などが列記されている。
ただ、一方で24年度は診療報酬、介護報酬の改定が控えており、1.1兆円の財源が今後5年間で捻出できるかは不透明と言えそうだ。