厚生労働省は8日、「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議会」で国民健康保険の見直しに関する中間整理をまとめた。国保の財政基盤を強化するために、財政運営を現在の市町村から都道府県に移管する方針が了承された。厚労省は必要な法律案を来年の通常国会に提出する。
国保は「低所得の加入者が多い」「年齢構成が高く医療費水準が高い」「所得に占める保険料が重い」などの理由から毎年度、市町村が赤字を自治体の税金で穴埋めしており、財政上の構造的問題の解決が課題となっている。
中間整理では、国保の安定的制度運営が可能になるよう、財政運営を都道府県に移管する方向性を提示。ただ、保険事業の実施主体はこれまで通り市町村とする。
さらに、保険料負担を軽減するため公費投入を実施し、財政リスクを分散するために、「財政安定化基金」の創設も検討するとした。しかし、財源については「予算編成過程を通じて財源確保に努力」との記載にとどまり、具体的な金額までは明示していない。
そのため、協議会では全国知事会の福田富一構成員(栃木県知事)が「国費投入の規模を提示して地方と協議してほしい」と述べ、新たな地方負担を前提とするのではなく、国費による財政基盤の強化を訴えた。
厚労省は協議会での議論を年末までに取りまとめる方針。