厚生労働省は1月10日の中央社会保険医療協議会に、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の見直しに関するシミュレーション結果を報告した。「急性期一般入院料1」では、救急搬送後の入院等の評価日数を1日に短縮するなど最も厳しい見直しを行った場合、2割近くの医療機関が施設基準を満たせなくなることが明らかになった。
評価項目については、①救急搬送後の入院及び緊急に入院を必要とする状態の評価日数を1日または2日に短縮、②注射薬剤3種類以上の管理から静脈栄養に関する薬剤を除外、③抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)と内服の管理について入院での使用が一定割合未満のものを除外―などの見直しを行うと仮定。
「急性期一般入院料1」はこれらに加え、平均在院日数に関する基準の短縮化や、該当患者の判定基準の見直しも織り込んでシミュレーションを行った。判定基準はB項目(A2点以上かつB3点以上)を廃止した上で、「A3点以上またはC1点以上」の患者が一定割合以上(基準1)であり、かつ「A2点以上またはC1点以上」の患者が一定割合以上(基準2)であることを新たな施設基準とすることを想定。基準値は、基準1を15%または18%、基準2を24%または28%で仮置きした。
「急性期一般入院料1」のシミュレーション結果をみると、救急搬送後の入院等の評価日数を1日とするなど医療機関にとって最も厳しい見直しを行う案1の場合、見直し後に施設基準を満たせなくなる医療機関の割合は、(A)(基準値1)15%・(基準値2)24%の場合=4.7%、(B)15%・28%の場合=19.5%、(C)18%・24%の場合=6.6%、(D)18%・28%の場合=19.8%。特に基準2を28%に設定した場合に影響が大きくなり、約2割の医療機関が施設基準を満たせなくなる。
最も緩い見直し案4(救急搬送後の入院等の評価日数2日、抗悪性腫瘍剤の使用を3点に引き上げ)の場合であっても基準2を28%に設定した場合は、1割超の医療機関が施設基準を充足できなくなることがわかった。
結果を受けて診療側は、シミュレーションの案はいずれも医療経営への影響が大きすぎるとして、より影響の少ない別案の検討を要望。支払側は、最も厳しい内容の見直し案1を支持している。