厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」が7月3日に開かれ、特定機能病院の承認要件などに関する議論に着手した。年内を目途に意見のとりまとめを行う。
これは社会保障審議会医療分科会が24年3月、特定機能病院について「時代に即した承認要件」や「特定領域型の特定機能病院のあり方」について検討を求める意見をまとめたことを受けたもの。検討会が開催されるのは約5年ぶりのこと。
特定機能病院は2022年12月1日現在で88病院。その内訳は大学病院本院を中心とする「総合型」が81病院(大学病院本院79病院、その他2病院)、特定の領域(がん、循環器疾患等)の高度・専門医療を提供する「特定領域型」が7病院となっている。
厚労省はこの日の検討会に、特定機能病院の役割である「高度の医療の提供」、「高度の医療技術の開発・評価」、「高度な医療に関する研修」の現状に関するデータを提示。それによると、(1)医療の高度化などで、高度と考えられる医療提供の中には、特定機能病院以外の病院でも実施されるようになっているものや、特定機能病院とそれ以外で実施件数が変わらないものがある、(2)大学病院本院の一部に、研究費の獲得実績や論文の出版実績、臨床研修医や専攻医の受け入れ実績が低い病院がある―ことなどが明らかになった。
このため厚労省は、①特定機能病院における高度な医療の提供のあるべき方向性や承認要件、②特定機能病院における医療技術の開発・評価等のあるべき方向性や承認要件、③総合型と特定領域型、それぞれの特定機能病院における研修のあるべき方向性と承認要件―などに関する議論を検討会に要請。医師偏在対策の一環として、現在は承認要件となっていない大学病院本院の医師派遣機能についても検討することを求めた。
これに対して構成員からは、「大規模型と地方の病床数が少ない特定機能病院を同じ要件とすることに無理がある。一律に高いレベルを求めると綻びが生じるのではないか」(長尾能雅名古屋大学医学部附属病院副病院長)、「大学病院本院としてのあるべき姿の部分と特定機能病院としてのあり方を切り分けて考える必要があるのではないか」(今村英仁日本医師会常任理事)などといった意見が出された。