厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は9月30日、病床機能報告の「回復期機能」について、高齢者救急等の急性期の一部機能も担う病床として定義と名称の見直しを検討する方針を固めた。
病床機能報告の見直しの方向性については前回の検討会で、(1)病床機能は4区分を維持する、(2)病床機能に加え、新たに医療機関機能の報告を求める―ことが確認されている。
厚労省はこの日、2040年に向けて増加する高齢者救急の受け皿として、これまでの急性期と回復期の機能を併せ持つ病床の確保が重要になると説明。対応策として、現行の病床機能の「回復期機能」について、急性期の機能の一部も担う病床と位置付け、名称や定義の変更を議論することを検討会に提案した。
一方、報告項目に追加する医療機関機能については、(1)地域ごとに求められる医療提供機能、(2)より広域な観点から医療提供体制を維持するために求められる機能―という2つの視点で整理していく予定。このうち前者については当初、①高齢者救急の受け皿となり、地域への復帰を目指す機能、②在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能(かかりつけ医機能を支援する医療機関等)、③救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能―の3機能が示されていたが、厚労省は「その他地域を支える機能」として専門医療を提供する医療機関等の機能を追加し、4機能とする案を示した。
このほか、回復期・慢性期・在宅医療の提供体制整備にあたっての基本的な考え方も提示した。回復期医療ではリハビリテーション提供の場について、入院での早期リハビリや集中的なリハビリが効果的な場合は入院、それ以外の場合は他施設とも連携しながら外来や在宅医療等も含め、患者の身体機能等に応じた適切な場所とすると整理。
慢性期医療は、医療の必要性が低い療養病床入院患者の在宅医療や介護施設等への移行をいっそう促す観点から、療養病床だけでなく、在宅医療や介護施設等も含めたトータルでの体制整備を図る考えを打ち出した。
在宅医療は、都道府県が市町村単位や保健所圏域など適切な在宅医療の圏域を設定し、24時間対応や在宅患者の入院受入対応が可能な体制を確保することを提案した。