健康保険組合連合会は10月3日、2023年度の健康保険組合の決算見込みを公表した。それによると経常収支差額は22年度決算の1368億円の黒字から、1367億円の赤字に転落する見通し。保険給付費と高齢者拠出金の大幅な増加が収支の悪化を招いた。
健保組合全体の23年度の経常収入は8兆8313億円(対前年度比2.6%増)、経常支出は8兆9680億円(5.9%増)、収支差引額は1367億円の赤字(2734億円減)となる見込み。保険料収入は対前年度比で2.7%増加したが、保険給付費(5.3%増)と高齢者拠出金(7.3%増)の伸びがこれを上回った。特に後期高齢者拠出金は団塊の世代が75歳に到達した影響で9.6%と大幅に増加した。全組合の52.6%にあたる726組合が赤字組合となり、その赤字総額は2867億円に達する。
平均標準報酬月額は38万9033円(1.6%増)、平均標準賞与額は123万7986円(1.5%増)に増加。各組合が設定した保険料率の平均料率は前年度比0.01ポイント増の9.27%となった。設定料率が協会けんぽの平均保険料率(10.00%)以上の組合は314組合となり、全体の22.8%を占める。
直近の動向を踏まえた24年度財政の推計(粗い試算)も公表し、経常収支の赤字額が23年度決算見込からさらに増え、1700億円となる見通しであることを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大前の19年度と比べると、保険料収入の伸びの11.2%に対して高齢者拠出金は12.2%、保険給付費は19.0%それぞれ増加。高齢者拠出金は25年度以降も毎年1000~2000億円増加する見込みであるほか、保険給付費では医療の高度化や高額薬剤の保険適用等により高額療養費が19年度比で21.3%増と大きく伸びている。
このため健保連は現役世代の負担軽減に向けた対応が必須だとして、①前期高齢者の対象年齢を5歳引き上げ(70〜74歳)、医療費の窓口負担を原則3割とする、②75歳以上の現役並み所得者(窓口負担3割)の範囲拡大、③75~79歳の現役並み所得者以外の窓口負担を原則2割とする、④高額療養費制度における自己負担限度額等の引き上げ―などの実現を求めた。