厚生労働省は12月4日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会に、薬価調査結果の速報値を報告した。薬価と市場実勢価格の平均乖離率は約5.2%となり、2023年度の前回調査時(6.0%)から0.8ポイント縮小した。
後発医薬品の数量シェアは約85.0%(前回比4.8ポイント増)。金額シェアは62.1%(5.4ポイント増)となり、政府の後発医薬品使用の副次目標(29年度末までに65%以上)にかなり近づいた。
23年度の前回中間年改定では、価格乖離が大きな品目として「平均乖離率7.0%の0.625倍」(乖離率4.375%)を超える品目が改定の対象になった。この考え方を平均乖離率6%だった前回の薬価調査データに当てはめた厚生労働省の試算によると、乖離率が3.75%(平均乖離率6%の0.625倍)を超える品目が改定対象となり、全品目に占める割合は65%に及ぶ。
25年度の次期中間年改定では改定品目の対象範囲が争点の1つだが、平均乖離率(約5.2%)の0.625倍という基準を踏襲した場合は、乖離率3.25%超の品目が改定対象となり、前回調査時から乖離率が縮小した分、厚労省の試算よりも改定対象品目は拡大する見込みだ。
議論で診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、医薬品の供給不安が続いていることなどから「中間年改定は廃止、または供給状況が改善するまで中止すべきだ」とした上で、仮に実施する場合には改定対象範囲を前回よりも縮小するよう要望。一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「薬価差が生じている以上、診療報酬改定の有無に関係なく政策的なルールも含め毎年粛々と薬価改定を行うべきだ」と改定対象範囲の拡大を主張した。
このほか、(1)23年度改定では全品目に不採算品再算定を適用した特例の扱い、(2)既収載品目の算定ルールの適用範囲、(3)後発医薬品企業の安定供給体制等の評価を薬価に反映させる仕組みに少量多品目構造解消の取り組みを追加することの是非―などが論点になっている。
このうち(1)の継続適用には慎重姿勢、(3)は賛成で各側が概ね一致。(2)では実勢価改定に連動したルールのみの適用を原則とするよう求める診療側と、全ルールの適用を求める支払側の意見の対立が続いている。