日本救急医学会はこのほど、『熱中症診療ガイドライン2015』 をまとめ公表した。
ガイドラインは、暑熱による障害を一括して「熱中症」症候群と捉えた上で、重症度をⅠ~Ⅲの3段階に分類。Ⅰ度は従来の分類で言う熱失神、日射病、熱痙攣に相当(現場で対処可能)、Ⅱ度は熱疲労(速やかに医療機関の受診が必要)、Ⅲ度は中枢神経症状、肝・腎機能障害、血液凝固異常等の臓器障害を呈するもの(採血、医療者の判断により入院〔集中治療〕が必要)─とした。
予防・治療には、「塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1~0.2%の食塩水)」の飲水を推奨。市販の経口補水液が望ましく、スポーツドリンクは塩分量が少なく糖分が多いことを認識しておく必要があるとしている。梅昆布茶や味噌汁等もミネラル、塩分が豊富に含まれ、熱中症の予防に有効としている。
なお、血管内冷却カテーテルを用いた深部冷却および水冷式体表冷却(ゲルパッド法、ラップ法)については「現時点では十分な検討がなされていない」と指摘。今後、その有効性に関する検討が望まれるとしている。