リフィル処方箋の普及率は依然として低い水準にあり、医療機関の多くは患者・医師への制度の周知が不十分であることが課題だと認識している─。こうした実態が4月9日の中央社会保険医療協議会診療報酬改定検証部会に報告された、2024年度診療報酬改定の結果検証に関する特別調査の結果から浮き彫りになった。
リフィル処方箋の利用促進を目指し、24年度改定ではかかりつけ医機能を評価する「生活習慣病管理料」や「地域包括診療料・加算」等の算定要件に28日以上の長期処方やリフィル処方箋の交付の対応が可能であることの院内掲示を追加する見直しなどが行われた。調査は、医療機関、医師、薬局、患者などを対象に実施。NDB(匿名医療保険等関連情報データベース)データの集計も併せて行った。
NDBデータの集計結果によると、全処方箋料算定回数のうちリフィル処方箋の割合は、22年7月診療分が0.04%(病院0.08%、診療所0.03%)、23年7月診療分が0.05%(病院0.12%、診療所0.03%)、24年7月診療分が0.07%(病院0.14%、診療所0.05%)と推移。微増傾向にはあるものの、低水準である状況に変わりはない。
医療機関調査の結果からリフィル処方箋の発行状況をみると、発行経験ありの割合は、病院が40.6%、診療所が53.6%。リフィル処方箋の発行経験がない医師に理由を確認すると、「長期処方で対応が可能だったから」との回答が病院・診療所とも最も多く、それぞれ57.1%、59.6%に上る。リフィル処方箋ではなく長期処方を行った理由の上位は、「患者にリフィル処方箋を必要とされていないから」(病院62.0%、診療所45.3%)、「薬を処方する際には医師の判断が毎回必須と考えるから」(病院49.0%、診療所69.8%)だった。
リフィル処方箋の課題と考えられることについての質問では、病院・診療所、リフィル処方箋発行実績の有無といった区分に関係なく、「患者への制度の周知が十分でないこと」との回答が最も多く、これに「医師への制度の周知が十分でないこと」が続いている。
一方、患者調査によると、リフィル処方箋について制度の内容まで知っていた割合は、郵送調査が33.2%、インターネット調査はわずか6.1%だった。リフィル処方箋の利用に当たり必要と感じることについての質問(複数回答)では、郵送・インターネット調査とも「信頼する『かかりつけ医』がいること」との回答が約7割を占め最多、「信頼する『かかりつけ薬剤師』がいること」との回答も約4割あった。