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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)[私の治療]

No.5289 (2025年09月06日発行) P.44

千酌浩樹 (鳥取大学医学部臨床感染症学講座特任教授)

登録日: 2025-09-04

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  • 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)はフタトゲチマダニなどのマダニ咬傷により,ブニヤウイルス科フレボウイルス属SFTSウイルスに感染する,ダニ媒介人獣共通感染症である。2011年に中国で発見された後,2013年に韓国,日本でも報告され,ほかにベトナム,ミャンマー,タイ,台湾など,東南アジアを中心に広がっている。好発の季節は春~秋(4~10月)で,九州・四国・中国・近畿などの西日本を中心に(最も東は静岡県),全国で毎年100例前後が報告されている。感染症法における4類感染症である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    症状は発熱,倦怠感,頭痛,筋肉痛,関節痛などで,インフルエンザ様の発熱性疾患として発症する。下痢,嘔吐などの消化器症状や,出血症状,脳症による意識状態の変化をきたすこともある。

    【検査所見】

    白血球減少,血小板減少,肝機能異常(AST,ALT,ALPの上昇),腎障害(BUN,Crの上昇),CK上昇,APTT延長を伴う凝固障害などを認める。血球貪食症候群を合併するとLDHやフェリチンの上昇もみられる。これら激しい炎症・臓器障害があるにもかかわらず,CRPが上昇しないことが特徴である。

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