厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会は2日、後期高齢者のフレイル防止対策を巡り、意見交換を行った。
フレイルは、加齢に伴い低栄養、転倒の増加、認知機能の低下などが現れた「虚弱」状態。こうした状態の高齢者は、重複・頻回受診や多剤処方などの問題を抱えているケースが多いことから、厚労省は来年度予算概算要求に、保健師・薬剤師などによる訪問指導を充実させるなどの施策を盛り込んでいる。
これについて武久洋三委員(日本慢性期医療協会)は、「急性期に長く入院してから慢性期に転院してきた高齢患者では、低栄養や脱水、褥瘡の発生が多く見られる」とし、「フレイル問題は非常に根深い。治療介入自体にフレイルを招く要因が隠れている可能性も視野に入れて対策する必要がある」と指摘した。
森昌平委員(日本薬剤師会)は、「多剤処方の患者は味覚障害を生じやすい。食事を美味しく感じられないことが食欲の減退、ひいては低栄養につながることがある」と述べ、薬剤師をはじめとする多職種による在宅栄養指導の意義を強調した。