『保健医療2035』の実現に向け、厚生労働省の武田俊彦政策統括官(社会保障担当)が「ITに力を入れたい」と意欲を示した。都内で4日に開かれたカンファレンス「Health2.0 ASIA-JAPAN」の医療行政とITに関するシンポジウムで明らかにした。
武田政策統括官は、保健医療の20年後のビジョンをまとめた『保健医療2035』の3つの方向性((1)保健医療の価値を高める、(2)主体的選択を社会で支える、(3)日本が世界の保健医療を牽引する)について「いずれもITが役立つ。私の担当は情報政策が重要なので力を入れたい」と述べ、「近々に医療ITの方向性を議論する場を作る」との方針を示した。
また現在、厚労省研究会が検討している医療等分野の番号制度(医療等ID)について「今年中に骨格を決めたい。これはマイナンバー制度と一緒に(医療ITで)大きなブレイクスルーになる可能性がある」と期待。具体的には「研究分野では、異なる医療機関のデータを紐付けした研究が可能になり、医療保険分野では、電子認証によりその場で本人確認が可能になる」と説明。「医師・患者関係をサポートするツールとして(ITを)生かしたい」と意欲を示した。
さらに、医療ITは最先端治療に注目が集まるが、高齢化の先頭を走る日本の保健医療の課題は地域包括ケアの構築であると説明。「こういう分野に医療ITの次のスポットを当ててほしい」と要請した。