(概要) 厚労省は16年度改定を「地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築を図る」ものと位置づけ、医療機能の分化・強化、連携が重点評価された
中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は10日、2016年度診療報酬改定を塩崎恭久厚生労働相に答申した。16年度改定の関係告示・通知は3月上旬に発出される予定。以下、主なポイントを紹介する。(次号詳報)
●重症患者割合は規模別で設定
入院医療で注目されていた7対1入院基本料の施設基準の「重症度、医療・看護必要度」を満たす重症患者割合については、現行の「15%以上」から「25%以上」に引き上げる。ただし、16年3月末までに7対1を届出した200床未満の病院については18年3月までの経過措置として23%以上を満たしていれば7対1が算定できる。病床規模別の設定については、3日の中医協で中川俊男委員(日医)が「現場に混乱を来さない配慮」として求めていた。
7対1を巡ってはこのほか、いわゆる在宅復帰率について、対象となる退院先に在宅復帰機能強化加算の届出施設である有床診療所を追加した上で、現行の「75%以上」から「80%以上」に引き上げる。
●「認知症地域包括診療料」は1515点に
外来医療では、認知症患者に対する主治医機能の評価として「認知症地域包括診療料/加算」を新設。点数はそれぞれ1515点、30点とされた。前回改定で導入された地域包括診療料(1503点)/加算(20点)を上回る設定となったことについて、保険局医療課は「認知症に積極的に取り組んでもらえるような点数にした」と説明。ただし、同診療料/加算を算定するには、「内服薬5種類以下、うち向精神薬3種類以下」に服薬調整する必要がある。
このほか地域包括診療料/加算の施設基準のうち、常勤医師について現行の「3人以上」から「2人以上」に要件を緩和し、一層の普及を図る。
また、小児のかかりつけ医機能を推進する観点から、同意のある3歳未満の患者に対し「継続的かつ全人的な医療」を行うことを総合的に評価するため「小児かかりつけ診療料」を新設。処方箋を交付する場合には初診時602点、再診時413点とし、交付しない場合は初診時712点、再診時523点を算定できる。
在宅医療では、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の評価を細分化した上で、前回改定で大幅に引き下げられた「同一日同一建物」の評価を概ね実質的に引き上げる。例えば現行1000点の機能強化型以外の在宅療養支援診療所について、改定後は「単一建物」の診療患者数が2~9人の場合、重症患者(月2回以上訪問)は3780点、それ以外の患者に月2回以上訪問する場合は2100点、月1回の訪問でも1260点を算定できることになる。
【記者の眼】1年以上にわたる議論を終え、16年度改定が答申された。やや強引に舵を切った前回改定に比べ、概ね「適正化」に相応しい内容となった印象だ。2年後には診療報酬・介護報酬の同時改定が控える。16年度改定が医療現場にどのような影響を及ぼすのか注目が集まる。(T)