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学校医不足解消へ社会的機能の評価を [お茶の水だより]

No.4694 (2014年04月12日発行) P.12

登録日: 2014-04-12

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▼学校医が不足している。大都市圏を含む多くの地域で、限られた学校医が複数の学校を担当し、児童生徒1人当たりの健診時間を十分に確保できない問題が起きている。日本医師会の学校保健委員会は3月にまとめた答申の中で、学校医不足は単に絶対数や健診時間の不足だけでなく、学校医契約と報酬の問題によるモチベーション低下などさまざまな要素が含まれており、「学校医個人がいくら努力しても解決できない問題として、学校健診の精度を低下させかねない」との強い懸念を示している。
▼日医の調査(2001年)によると、学校医の診療科別の割合は、内科系が41.8%、眼科系が28.5%、耳鼻科系が26.7%。眼科と耳鼻科の学校医報酬は地方交付税の算定対象にもなっており、その重要性は明らかだが、山間部や離島など、両科の学校医による健診が行われていない地域は少なくない。学校保健安全法は学校医を内科、耳鼻科、眼科に限定していないが、同法が定める項目、水準で健診を行うには相応の専門性が求められる。日医は、学校健診のあり方に関する文部科学省の検討会でこの点を指摘。昨年末の検討会意見書に「今後は地域(学校所在地)内にとどまらず、地域を超えた連携も重要な課題」と明記されるに至った。
▼一方、学校保健安全法が定める現行の学校健診は、アレルギー疾患や生活習慣病、運動器疾患・障害、発達障害等のいわゆる現代的な疾患を発見・指導する機会にもなり得ていない。文科省は今年度、学校健診全般に関するマニュアルを改訂する方針で、日医はそれに合わせ、健診を有意義に行うための「保健調査票」に関する委員会試案を同省に示した。アレルギー疾患の情報など小学校入学時からの健康情報データベースとしての活用、健診の時間短縮・効率化や精度向上を意図したもので、運動器、皮膚、思春期、メンタルヘルスに関する質問も含まれている。それらの疾患を抱える子どもが把握されれば、健康教育等の事後措置が可能となり、また、保健調査票の標準化により全国の学校医が課題を共有、連携して解決を図ることもできるとしている。
▼学校医、また同じく深刻な人材不足に陥っている警察協力医等の社会的機能は、かかりつけ医が地域医療の一環として担ってきた重要な機能だ。質と人材確保のためには、それらの機能に対する適正な評価が必要であり、まずは地域医師会と行政が協議の場を持ち、問題意識を共有する必要がある。

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