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徘徊するステント [プラタナス]

No.4749 (2015年05月02日発行) P.3

浅野重之 (いわき市立総合磐城共立病院副院長(病理科))

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-20

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  • 胆管ステントは、悪性腫瘍や良性疾患で狭窄した胆道を広げ、胆汁を排泄させるために用いる人工の管である。金属ステントと異なりチューブステント(TS)は、稀に逸脱して体外に排出されることがあるし、小腸穿孔を起こすこともある。ここでは、意外な場所からTSが見つかった症例を紹介する。

    患者は90歳台の男性で、6年前に胆管炎のためにTS(12cm)を留置した。最近、嘔吐・腹痛で受診し、CT(右肋骨の変形とステントの逸脱を認める、下写真)にてTSの腸管外逸脱および穿孔性腹膜炎を疑われ、肋間から肝前面にドレーンを挿入し、抗生剤投与により管理していたが、突然の腎不全により初診から約1カ月後に死亡した。


    解剖時、右第10~12番の肋骨弓が内側に変形し、その内側を腹膜が覆って縦長の隔壁を形成し、右上側は肝、左上側は胃、左下側は側弯腰椎に囲まれた狭い領域を走行する腸管が上行結腸から肝弯曲部にかけて著明に拡張していた。

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