株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

31年間に12箇所・11回の手術でがんを克服した症例 [プラタナス]

No.4780 (2015年12月05日発行) P.3

髙見元敞 (社会医療法人大道会森之宮クリニック所長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 「先生、私まだまだ生きていたいの。頑張れるかしら……」。37歳で結腸癌がみつかってから、50歳までに5箇所のがんを経験したSさん。6つ目のがんが子宮にみつかったとき、Sさんが思いつめたような表情で言ったことを今もよく覚えている。

    Sさんの最初のがんは上行結腸に発生し、かなり進んでいたが、幸運にも転移はなく、再発もみられなかった。しかしその後、横行結腸癌、直腸癌、小腸癌、S状結腸癌、子宮癌が次々に発生し、その都度手術を受けて事なきを得てきた。

    両親は早くに他界し、家族歴の詳細は不明だったが、がんの発生の仕方からみて、当時注目され始めていた遺伝性非ポリポーシス(性)大腸癌(HNPCC)が疑われた。遺伝子検索の結果、DNAミスマッチ修復系遺伝子のひとつであるMSH2の変異が認められ、HNPCCの典型例と判断した。

    HNPCCは、①若年でのがんの発症、②右側結腸癌の発生、③小腸癌の合併、④(女性では)子宮癌の発生、などが特徴と言われており、Sさんはそのすべてに該当していた。

    大腸にポリープが多発する大腸腺腫症とは病態が異なるため、予防的大腸全摘術の対象ではないと判断し、厳格な経過観察を行うことにした。

    残り397文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top