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網膜疾患に対する抗VEGF療法

No.4702 (2014年06月07日発行) P.60

大島裕司 (九州大学眼科講師)

登録日: 2014-06-07

最終更新日: 2016-10-26

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糖尿病網膜症,加齢黄斑変性(AMD)などの眼内血管新生疾患の発症,進行には血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が大きく関与していることが知られている。そのVEGFの働きを抑え,眼内血管新生の進行,活動性を低下させる治療法が抗VEGF療法であり,抗VEGF薬を眼内に注射(硝子体注射)して治療を行う。現在,わが国で眼科治療において認可されている抗VEGF薬は,ペガプタニブ(マクジェンR),ラニビズマブ(ルセンティスR),アフリベルセプト(アイリーアR)である。
ペガプタニブは,最初に認可された抗VEGF薬で,2008年にAMDに対して認可されたアプタマー製剤である。
ラニビズマブは,2009年にAMDに対して認可され,その有効性から現在ではAMDに対しての第一選択薬となっている。ラニビズマブは抗VEGF抗体のFab断片で分子量が約49kDと小さく,VEGFとの親和性が高い。国内臨床試験でもその有効性が確認されている(文献1)。現在では,AMDのみならず糖尿病黄斑症,網膜静脈閉塞症,近視性脈絡膜新生血管にも認可され,広くこれら疾患の治療に用いられている。
アフリベルセプトは,2012年にAMDに対して認可された。アフリベルセプトはVEGFのレセプターとIgGのFcとの融合蛋白であり,VEGF-AのみならずPlGFを阻害する。AMDに対する臨床試験ではその有効性が示された(文献2)。現在はAMDおよび網膜静脈閉塞症に対して認可されている。

【文献】


1) Tano Y, et al:Acta Ophthalmol. 2010;88(3):309 -16.
2) Heier JS, et al:Ophthalmology. 2012;119(12): 2537-48.

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