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新しい経口血糖降下薬:SGLT2阻害薬

No.4708 (2014年07月19日発行) P.59

岡田健太 (自治医科大学内分泌代謝科講師)

登録日: 2014-07-19

最終更新日: 2016-10-26

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わが国の経口血糖降下薬(OHA)の歴史は,1957年に第一世代SU薬の登場をもって始まった。2009年には,従来の薬剤とは作用機序の異なるDPP-4阻害薬の登場によって新たな局面を迎えた。この薬剤は,血糖依存性にインスリン分泌を促進する一方,グルカゴン抑制を介し,低血糖発症リスクが少なく,体重増加をきたしにくい。これらの特性は既存薬のアンメットニーズを補い,2型糖尿病の治療を一変させたのは記憶に新しい。
このたび,ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬が7種類目のOHAとして新たに登場した。SGLT2阻害薬は,血液中の過剰な糖を尿中に排出させることで血糖値を低下させるという(文献1),インスリン分泌や作用に直接依存しない新規作用機序を有するOHAである。単独では低血糖をきたしにくく,体重減少,血圧低下,脂質異常改善,尿酸値低下やインスリン抵抗性改善も期待できる。近年,急増している内臓脂肪蓄積型・メタボ型糖尿病に関しては理にかなった薬剤と言える。
しかし,尿路・性器感染症(文献2),脱水,筋肉量の減少(サルコペニア),ケトン体増加などの副作用も報告されている。インスリン分泌不全者ではケトアシドーシスを引き起こす懸念がある。また,高齢者では容易に脱水を起こしやすいため,より慎重な観察が必要となる。加えて,中・長期的な観点からも,生体にどのような影響があるのかを注意深くケア・フォローしていく必要性を重ねて強調したい。

【文献】


1) DeFronzo RA, et al:Diabetes Obes Metab. 2012; 14(1):5-14.
2) Johnson KM, et al:J Diabetes Complications. 2013;27(5):473-8.

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