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高齢者に対する退院計画と多職種連携チーム医療

No.4749 (2015年05月02日発行) P.51

竹下実希 (杏林大学高齢医学)

登録日: 2015-05-02

最終更新日: 2016-10-26

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高齢者の多くは入院のみで治療は完結せず,退院後も医療・看護・介護による総合的なケアを必要とする。一方で,退院計画を推進して実行する意識が薄く,不適切な生活環境のまま退院して病状が悪化し,再入院する事例も多い。
[症例]91歳,女性。
[現病歴]数十年来独居で,高血圧症・末梢動脈閉塞症などで近医に通院中。要支援1だが介護サービス未使用。日常生活の状況は誰も把握しておらず,周囲は認知症との認識がない。今回,孫の訪問時に一度に大量服薬したことが判明し,救急搬送された。
[家族構成]配偶者:死去,長女:死去,長女夫:遠方に在住,孫:近隣に在住。
[1日の常用薬]7種12錠,服薬回数は3回。
[経過]MMSE 15/30点で認知症と診断し,退院後の問題点について家族と多職種(医師,看護師,医療ソーシャルワーカー,ケアマネージャーなど)で退院前カンファレンスを開いた。(1)介護保険の区分変更(要介護1が認定),(2)デイサービスの定期利用,(3)服薬を1日1回へ整理,(4)介護ヘルパーによる服薬管理・生活介助,(5)孫の同伴下での外出,の方針となり,退院後の生活は安定している。
カンファレンスの目的は「退院」ではなく,「多職種が連携したチーム医療を提供すること」である。病気,身体・精神機能,家族構成,経済状況など,患者と家族を取り巻く環境に合う生活の場を提供するための,退院前カンファレンスが重要である。
退院時共同指導料の算定要件は,厚生労働省ホームページを参照されたい。

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