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認知症治療薬の進歩

No.4751 (2015年05月16日発行) P.50

和田健二 (鳥取大学脳神経内科講師)

中島健二 (鳥取大学脳神経内科教授)

登録日: 2015-05-16

最終更新日: 2016-10-26

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わが国における認知症者数は増加傾向にあり,認知症対策は国家的な課題となっている。1999年にドネペジルが軽度~中等度アルツハイマー型認知症(AD)の認知症症状の進行抑制作用を有する治療薬として認可された。2007年には同薬10mg錠が高度ADに対しても適応となり,軽度~高度ADに対する治療が可能となった。その後,2011年にはガランタミン,リバスチグミンおよびメマンチンの新たな3剤が加わり,複数の薬剤が使用可能となった。
ガランタミンはコリンエステラーゼ(ChE)阻害作用のほかにアロステリック活性化リガンド(APL)作用を有しており,認知症治療薬の切り替え時に効果を示すエビデンスが報告(文献1)されている。リバスチグミンはChE阻害作用のほかにブチリルChE阻害作用を有しており,貼付薬としての特徴を活かした使いわけも期待されている。N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬のメマンチンは,中等度~高度ADに対する治療薬として単独あるいはChE阻害薬との併用投与が可能で,治療の多様性をもたらした。『認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012』(文献2)の中で,治療アルゴリズムも提示されている。
最近ではADについで多いとされるLewy小体型認知症(DLB)においてもドネペジルの治験が行われ,プラセボと比較し同薬の優位性が証明され(文献3),2014年に世界で初めてDLBにおける認知症症状の進行抑制の追加承認を取得した。

【文献】


1) 高橋長秀, 他:老年精医誌. 2014;25(1):70-86.
2) 日本神経学会, 監:認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012. 医学書院, 2012.
3) Mori E, et al:Ann Neurol. 2012;72(1):41-52.

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