牧師の子として生まれたフレーベルは、経済的理由から職を転々としながら学業を続け、1805年フランクフルト・アム・マインの模範学校の教師となる。幼児教育の始祖ペスタロッチの影響を受けて、就学前の子どもの教育に力を注いだ。(フリードリッヒ・フレーベル著、荒井 武 訳、岩波書店、1964年刊)
『人間の教育』(1826年刊)は、幼稚園の創始者として知られるフリードリッヒ・フレーベル(1782〜1852)の著作である。またフレーベルは、「恩物」(Gabe:gift)と言われる今で言う「おもちゃ」の原型を創ったことでも有名である。
18世紀のドイツロマン主義の流れを汲むフレーベルの文章は深遠で難解であり、大学院で幼児教育を専攻した私は、ドイツ語の辞書を片手に、『人間の教育』を必死になって読み込んだ。その記憶が今も鮮明に残っている。大学院卒業後も保育の道を目指し、保育士として子どもたちとの交流を多く経験できたことが、医師となってからも貴重な財産になっている。
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