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腹壁破裂に対する最近の腹壁閉鎖方法 【sutureless法では臍帯が温存され,臍がほぼ正常な位置に温存されうる】

No.4791 (2016年02月20日発行) P.52

田附裕子 (大阪大学小児成育外科准教授)

奥山宏臣 (大阪大学小児成育外科教授)

登録日: 2016-02-20

最終更新日: 2016-10-26

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従来,腹壁破裂に対する外科的治療は,可能であれば出生後早期に一期的に脱出腸管を腹腔内に還納し腹壁の縫合閉鎖を行い,一期的閉鎖が不可能であったり一期的閉鎖により呼吸不全や循環不全の進行が予測される場合は,シリコンシートや人工膜やプラスチックの輸液バッグなどで腸管を覆うためのサイロを作製し,腸管が腹腔内に還納されるのを待ってから二期的に腹壁の縫合閉鎖を選択する方法が主流であった(文献1)。しかし,1995年にSILASTICR silo with a spring-loaded ringを用いた腹壁破裂治療が報告(文献2)されて以後,最近では,類似品である開腹手術時の開創具であるwound retractorをサイロに見立てて腹壁に縫合せずに装着し,腸管の腹腔内への自然還納後に,腹壁の縫合閉鎖を行わずに腹壁の自然閉鎖を待機するsutureless abdominal wall closure法(sutureless法)が行われるようになってきた。
sutureless法では,経腸栄養開始や入院期間などで従来法と有意差がないという報告(文献3)や人工呼吸期間が短いという報告(文献4)がある。特に,従来法では臍帯を切除していたのに比し,sutureless法では臍帯が温存され臍がほぼ正常な位置に温存されるため,長期的な整容面では優れた方法と思われる。

【文献】


1) Allen RG, et al:J Pediatr Surg. 1969;4(1):3-8.
2) Fischer JD, et al:J Pediatr Surg. 1995;30(8):1169-71.
3) Charlesworth P, et al:Eur J Pediatr Surg. 2014 ;24(1):88-93.
4) Ross AR, et al:Pediatr Surg Int. 2015;31(5):473-83.

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