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小児外鼠径ヘルニア:腹腔鏡下手術 【対側の腹膜鞘状突起開存の有無を腹腔内より観察することで体側ヘルニアの予防が可能】

No.4796 (2016年03月26日発行) P.46

山中宏晃 (大阪大学小児成育外科)

奥山宏臣 (大阪大学小児成育外科教授)

登録日: 2016-03-26

最終更新日: 2016-10-26

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近年,多くの小児外科施設において腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖法(LPEC法)が小児外鼠径ヘルニアの標準術式のひとつとして広く行われている。LPEC法の利点としては整容性だけでなく,同時に対側の腹膜鞘状突起開存の有無を腹腔内より観察できるため,術後の対側ヘルニアの予防が挙げられる。
当初,LPEC法は技術的な困難さから女児例を中心に行われてきたが,近年では男児例に対しても行われるようになってきた。男児においてLPEC法が従来法(鼠径法)と異なる点は,鼠径管を開放し精索内の精管や精巣動静脈からヘルニア囊の剝離をせず,腹腔鏡の観察下に内鼠径輪のレベルでヘルニア囊を高位結紮する点であり,鼠径法と比較して遜色のない報告がなされている(文献1)。
また最近では,これまで鼠径法で行われてきた精系水瘤,Nuck管水瘤(文献2),卵巣滑脱ヘルニア,嵌頓症例,低出生体重児に対してもLPEC法の適応が広げられている。さらに整容面をより改善させるための工夫として,従来の臍および側腹部の2ポート法を改良し,臍輪内に2ポートを設けるSILPEC法などが試みられるようになってきている。
近年,小児腹腔鏡下手術が社会に認知されつつあるが,鼠径ヘルニアにおいても腹腔鏡下手術の利点と欠点を理解して,患者や患者家族のニーズに合った手術法を提供できる知識と技術を兼ね備えることが重要であると考えている。

【文献】


1) 嵩原裕夫, 他:小児外科. 2015;47(6):573-9.
2) Saka R, et al:J Laparoendosc Adv Surg Tech A. 2014;24(9):664-8.

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