寺澤捷年氏(1944~)は、漢方と現代西洋医学との調和をめざした「東西医学の和諧と発展」を提唱した、和漢診療学の創始者(初版1990年、第3版2012年、医学書院刊)
私は、大学入学以前から何となく西洋と東洋の医学の融合ができれば、という考えを持っていた。大学に入学したその日にもらった学生サークル案内の冊子を見て、あるページに釘づけとなった。「千葉大学東洋医学研究会」の文字である。とはいえ、東洋医学(つまり、漢方)については、この症状ならこの処方、という健康食品程度のものを想像していた。たぶん、もしそうであったら学ばなかったであろう。
ところが、東洋医学は世の中を如何に分類するかという、素朴だが世の現象を大まかにつかむのにはよい方法を、人間の体質などの医学に応用したものであった。そのインパクトのため、私は現在まで東洋医学を続けることとなったと言っても過言ではない。そして卒業後、1990年にこの1冊に出会うことになる。
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