国立社会保障・人口問題研究所は5日、2014年度の社会保障費用統計の結果を取りまとめ、社会保障給付費(用語解説)が前年度比1.3%増の112兆1020億円で過去最高を更新したと発表した。一方、対GDP比では22.90%(同0.05%減)となり、2年連続で減少した。
分野別では、「医療」給付費が36兆3357億円(同2.0%増)、「介護」が9兆1896億円(同4.6%増)。同研究所は医療給付費の伸びについて、65歳以上人口の増加率が3.5%に上ることから高齢化によるものと分析。医療の高度化による影響については、「1人当たりの給付費が伸びていないので14年度データからは考えにくい」とした。高額薬剤が相次いで上市された15年度給付費への影響が注目される。一方、介護給付費の伸びについては、高齢化に加え14年度介護報酬改定(0.63%)の影響がみられるとしている。
分野別で最も多額となったのは54兆3429億円(前年度比0.5%減)と全体の48.5%を占める「年金」。しかし13年10月から実施した年金給付の段階的減額により、統計を開始した1950年度以降初めて、前年度比で減少した。
●用語解説
【社会保障給付費】
社会保障給付費は政府の社会保障分野に関する支出を指し、ILO(国際労働機関)基準で集計する。そのうち医療給付費は、厚生労働省がまとめる国民医療費から自己負担を引いたもの。14年度国民医療費は40兆610億円だったことから、国民の自己負担は3兆7253億円となる。