気をつけて
泣いてはだめ
すねてもだめ
どうしてかって?
サンタクロースがやってくるんだよ
「サンタが街にやってくる(Santa Claus Is Coming to Town)」の歌詞である。
日本では「あなたから、メリークリスマス、私から、メリークリスマス」と歌われているが、オリジナル歌詞を訳すとこのようになる。
ここで気をつけなければいけないのは、もちろん子どもたちである。良い子でないとプレゼントがもらえない。だから、少なくともクリスマス近くになったら良い子にしていないといけない。子どもたちにとってサンタさんが来るかどうかは死活問題なのである。クリスマスはイエス・キリストの誕生日なのだからもともとはキリスト教徒のお祝いであるはずなのに、サンタさんは宗教の壁を越えて愛されている。
サンタクロースは北極に住んでいる。
普段はのんびりとエルフたちとおもちゃ作りをしているが、クリスマスの時はてんてこ舞いである。一晩のうちに全世界の子どもたちのところにおもちゃを届けなければならない。たった一人でも忘れてはいけないから、良い子のリストを何度も確認してから出発する。
クリスマスの夜に大活躍するのがサンタのソリを引いて夜空を走るトナカイたちである。その先頭を切るのがルドルフ(Rudolph)、ご存知、赤鼻のトナカイである。小さな時は自分が他のトナカイと違っていることを悩んでいたが、赤い鼻こそがサンタのソリで先頭を走るための特殊能力だったのである。
吹雪いてしまったらどうしよう。
大丈夫、ルドルフがいるから。
最初にサンタクロースのソリを引く8頭のトナカイをダッシャー(Dasher)、ダンサー(Dancer)、プランサー(Prancer)、ヴィクセン(Vixen)、コメット(Comet)、キューピッド(Cupid)、ドナー(Donner)、ブリッツェン(Blitzen)の8頭と決めたのは、「聖ニコラウスの来訪(A Visit from St. Nicholas)」という詩である1)。1823年にこの詩が発表された時は匿名だったので、その後、作者をめぐっていろいろと物議を醸したらしい。しかし、結局は、クレメント・C・ムーア(Clement C. Moore)の作ということで決着がついている。そこに9頭目のトナカイを加えたのはロバート・L・メイ(Robert L. May)である。1939年のことであるから、割と最近である。それでも、空を飛ぶトナカイとサンタクロースの話は、すでに世界中で知らない人はいないほど有名な話になっている。
でも、どうしてトナカイは空を飛ぶのだろう。
これには明快な答えがある。
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