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団塊の世代に“蛍の光” [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.83

井関邦敏 (豊見城中央病院臨床研究支援センターセンター長)

登録日: 2017-01-03

最終更新日: 2016-12-26

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私の生まれた1949(昭和24)年は団塊の世代(1947~1951年)のちょうど真ん中にあたる。小中高の学生時代はいずれも教室いっぱいに机が並んでいた。郷里(長崎)の小学校でも、グラウンドに整列すると列の長さが2倍近くあった。5年間で出生数は1250万人を超え、まだ1000万人前後の仲間が残っている。昨年で全員が65歳定年を迎えた。無事、高齢者の仲間入りを果たせたことに感謝したい。

学生時代の思い出のひとつは卒業式の際に合唱した“蛍の光”である。いわゆる懐メロではない。1番の“あけてぞけさは わかれゆく”、2番の“幸(さき)くとばかり 歌うなり”までくると別れのつらさを実感する暗い感じの曲である。しかし本家本元のイギリスでは、新年を迎える時に歌う明るい曲であるらしい。団塊の世代の仲間に新しい展望が開けることを期待したい。

しかし、我々はとかく評判が悪い。現役時代からのライフスタイルの変化にうまく適応できず、やたら周りにクレームをつけ、団塊モンスター(暴走老人)化している仲間もいる。また、全員が後期高齢者の仲間入りをする8年後から高騰する医療費の元凶と目されている(2025年問題)。我々も自衛策を考えておかねば。

透析患者さんにとって最大のストレス(生活の質の低下)は“自由に旅行できない、移動の制限”である。同窓会・同門会の誘いにも気が向かず自宅に引きこもるのは、ストレス蓄積のサインであり、要注意である。自分の意思でライフスタイルを変え旧友を訪ねるも良し、旅行(国内外)・移住も良いのではないか。

ITがさらに進歩し、体力の低下を補ってくれるのは嬉しい半面、面と向かっての人間関係は薄れるのではなかろうか。地下鉄の車内で隣り合った全員がスマホをいじっている光景には違和感を覚える。私はいまだに紙の手帳を愛用している。

“蛍の光”の3、4番は普段あまり歌われることがなく、歌詞もあまり馴染みがない。4番は“千島の奥も 沖縄も、八洲(やしま)のうちの 護りなり、至らん国に 勲しく、努めよ我が兄(せ) 恙(つつが)なく”である。昨今、沖縄の近海(尖閣)、竹島、北方四島の帰属をめぐって中国、韓国、ロシアと厳しい情勢が続いている。別に政治的信条があるわけではないが、わが身(国)は自分で守るのが当然である。我々の世代が元気なうちに何とか解決してほしい。

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