政府は12月22日、一般会計の総額が過去最大の97兆4547億円となる2017年度予算案を閣議決定した。社会保障関係費は32兆4735億円。8月の概算要求で厚生労働省は社会保障関係費の自然増を6400億円としていたが、「オプジーボ」の薬価引下げや高額療養費制度の見直し等により、自然増を4997億円に抑えた。医療費は11兆7685円(2247億円増)となった。
厚労省予算案の重点事項は経済財政政策「新3本の矢」(用語解説)に沿った施策。第1の矢「希望を生み出す強い経済」の施策としては、「医療のICT化・保険者機能の強化」に250億円を計上した(16年度予算7億円)。医療情報データベースの本格運用に向けた環境整備や、医療保険のオンライン資格確認、医療等ID制度導入のためのシステム開発などを行う。
国際保健への貢献策も第1の矢に盛り込み、薬剤耐性(AMR)対策に5.5億円を計上した(同600万円)。国立感染症研究所にAMRに関する調査、研究を行う「薬剤耐性感染症制御研究センター(仮称)」を設置するほか、国立国際医療研究センターにAMRに関する臨床情報を集約し、医療従事者に情報提供する「AMRに関する臨床情報センター」を設置する。
第3の矢「安心につながる社会保障」については、がん等の疾病による長期療養が必要な労働者や生活困窮者に対する就労支援の強化に106億円を計上した(同73億円)。予算案の詳細は次号に掲載予定。