人工知能や遺伝子解析機能を備えたがん治療開発コンソーシアムの構築などを盛り込んだ、がんゲノム医療の実現化に向けたプロジェクトを来年夏メドに策定する――塩崎恭久厚生労働相(写真中央)は27日に厚生労働省・国立がん研究センター・国会がん患者と家族の会が開催した「がんゲノム医療フォーラム2016」で決意表明した。
プロジェクトの策定は安倍晋三首相の「海外ではゲノム医療の実用化を目指した国家プロジェクトが展開されている。日本も幅広い科学の力を駆使して、がんとの闘いに終止符を打たなければならない」という指示を受けたもの。塩崎氏は、「日本はゲノム医療で遅れをとってきたという認識を持って国家プロジェクトを立ち上げるべき」と強調。1人1人のゲノム情報に合わせ、効果が高く最も副作用が少ない治療法の選択が可能となるがんゲノム医療を実現する方針を打ち出した。
実現に向けた取組として官民の壁を超えて人工知能や遺伝子解析機能を備えたがん治療開発コンソーシアムの中心となる国立がん研究センターの間野博行所長は記者団に対し、「遺伝子解析は海外の会社で実施してもらっているのが現状。日本独自の遺伝子解析のデータベースができれば国家財産となる」と指摘。厚労省は、現在約400あるがん診療連携拠点病院からゲノム医療を提供する病院を選定し、確実に治療を患者に届けたいとしている。