日本専門医機構(吉村博邦理事長)は13日の理事会で整備指針の運用細則について議論し、専攻医の地域偏在を防ぐため、都市部の基幹施設の定員に上限を設ける方針を決めた。ただ、外科など医師数が減少している診療科は上限設定の対象から外す。都市部の定義については、医師臨床研修制度で都市部とされている6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を軸に検討する。来月の理事会で詳細を決定し、運用細則の成文をまとめる予定。
昨年12月に決定した新たな整備指針では、専門医制度の基本理念に地域医療への配慮を盛り込み、専攻医の都市部への集中を防ぐため、都市部に基幹施設がある研修プログラムの定員を運用細則で定めるとしていた。
理事会終了後の会見で松原謙二副理事長(写真左)は、過去3年間の採用実績を基にして、上限を設定する方針が理事会で了承されたことを紹介。ただ、都市部の定義は確定ではなく、「県によっては一部の市だけに専攻医が集まり、それ以外は過疎地域というところがある」(松原副理事長)ことから、6都府県から増減する可能性もあるとした。また、上限設定の対象外とする診療科については、外科、産婦人科、病理、臨床検査が了承されたとし、そのほかの診療科については議論を続けるという。
上限の数値について山下英俊副理事長(写真右)は、「医師数が少ない診療科の場合、上限設定によって専攻医が地方に流れるのではなく、定員に余裕がある診療科に専攻を変える可能性もあり、多面的な議論が必要。早急にデータを集めてエビデンスに基づき議論したい」との考えを示した。