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医療機関のWebサイトに対する新たな規制 [お茶の水だより]

No.4845 (2017年03月04日発行) P.15

登録日: 2017-03-03

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▶小誌先週号では、一部週刊誌が継続的に展開する医療特集が不確実な情報を多く含み、国民に誤解を与えかねない内容であると指摘した。昨年にはインターネット上の情報をテーマ別にまとめた医療系“キュレーションサイト”が問題視されるなど、医療情報のあり方が問われている。
▶そんな中、NHKが健康情報番組「ガッテン!」の2月22日の放送内容について「誤解を与え混乱を招いてしまった」とする謝罪文を番組ホームページに掲載した。番組では、不眠症を効能効果とするオレキシン受容体拮抗薬「ベルソムラ」を服用することで「糖尿病の治療や予防ができる」と紹介。日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会が「看過できない」として抗議する事態に発展した。
▶適切な情報提供という観点でいえば、医療機関のWebサイトのあり方も課題となる。現状では医療機関のWebサイトは情報提供として扱われ、広告規制の対象になっていない。しかし、今国会に提出予定の医療法改正案では、新たな規制が盛り込まれる予定だ。虚偽・誇大な内容等の不適切な表示を禁止し、命令や罰則に関しては現行の広告規制と同様の措置ができるようになる。
▶「ガッテン!」の事例のように広く発信される情報であれば、それを目にした専門家が問題点を指摘することもできる。一方、医療機関のWebサイトに訪れるのはそうした知識を持ち合わせていない人々だ。一部にはエビデンスのない高額な自由診療を大きく宣伝しているケースもあり、特に美容医療やがんの免疫療法に関するトラブルが増加している。医療機関のWebサイトから知りたい情報を得られる環境を担保するためにも、今回の法改正による効果に期待したい。

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