No.4849 (2017年04月01日発行) P.74
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2017-03-31
最終更新日: 2017-03-28
最近出た『利己的な遺伝子』の著者リチャード・ドーキンスの自伝を読んでいたら、面白い人は面白い出来事や話に遭遇しやすいのだろうか、という問いかけがあった。ドーキンス先生には、それは間違っていますとはっきり申し上げたい。
いいエッセイを書くには、おもろい話に出会う必要がある。しかし、普通にしていたら、そんな遭遇の頻度など、誰にとっても大きな違いはない。世の中はおもろいはずだと信じる姿勢と、おもろそうな匂いがする方向に進んでいく習慣が大切なのだ。
連載を始めて以来、その姿勢と習慣を意識するようになった。そのおかげで、面白き事もなき世を面白く生きる術が向上した。なので、連載させてもらっていることをとても感謝している。原稿料は安いけど。
なんや、こんなエッセイのどこが珠玉やねん、タイトルとちゃうやんけ、と思われているかもしれません。待ちなはれ、本題はここからだす。というても、このエッセイが珠玉なのではありませんで、珠玉のエッセイについてのエッセイなのであります。
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