【質問者】
福本弘二 静岡県立こども病院小児外科医長
総排泄腔遺残は女児の直腸肛門奇形の特殊型で,尿道・腟・直腸が総排泄腔(共通管)に合流し,会陰部には共通管のみが開口している状態ですが,新生児期からの排尿・排便管理のほかに,将来の生殖器機能(月経血流出路障害,妊孕性,妊娠・出産)の観点から腟形成術が必要となります。共通管の長さが3cm以下のshortと3cmを超えるlongでは術式が異なり,longのほうが難易度は高くなります。
shortでは,乳幼児期に直腸肛門形成術を施行する際,総排泄腔を会陰部から尿道・腟の合流部まで周囲より十分に剝離した後,会陰部に引き降ろして2つの開口部とする方法(total urogenital mobilization:TUM)や,共通管を尿道に利用し,総排泄腔に合流する直腸と腟を分離して肛門部と会陰部に引き降ろす方法(pull through法)などが広く採用されています。
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