個人の医療情報を匿名加工し、研究開発での利活用を促す「次世代医療基盤法」が4月28日の参議院本会議で、自民、民進、公明など各党の賛成多数で可決、成立した。公布後1年以内に施行される。
病歴や健康診断結果など患者個人の診療情報は、現在、医療機関や薬局などが保有しており、今月30日に全面施行予定の改正個人情報保護法でも、本人同意なしに第三者提供できない「要配慮個人情報」に位置づけられる。
次世代医療基盤法では、診療情報の提供に関する個人情報保護法の規定に例外を設ける。高い情報セキュリティーを確保し、十分な匿名加工技術を持つなど、一定の基準を満たす事業者を国が認定。医療機関等は予め患者本人に通知し、本人が拒否しない場合、認定事業者への診療情報の提供を可能とする。
認定事業者は個人の識別ができないよう加工を施した上で、研究機関、製薬会社、行政などにデータを提供。新薬開発、質や費用対効果の分析、未知の副作用の発見などの成果につなげる狙い。事業者の認定要件や匿名加工の方法の詳細については今後、政省令等で定められる。