No.4856 (2017年05月20日発行) P.73
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2017-05-20
最終更新日: 2017-05-16
義太夫の師匠でございます三代豊竹英太夫が、この春、目出度く六代豊竹呂太夫を襲名することと相成りましてございます。
呂太夫の名は、お師匠さんの祖父で名人の誉高かった人間国宝・豊竹若太夫がかつて名乗っていたこともある由緒ある名跡だ。ちなみに、義太夫語りの名前である「~太夫」は、~が二音の場合のみ「たゆう」でそれ以外は「だゆう」と読む。なので、呂太夫は「ろだゆう」である。
襲名披露の皮切りは、大阪にある国立文楽劇場での4月公演だった。なんと、その公演パンフレットの巻頭にエッセイを寄稿するという栄誉に浴することになった。
あちこちで文章を書いてはいるけれど、リアリティーを持って読者を意識することはほとんどない。なので、劇場で、実際に自分の書いた文章を読んでいる方たちを見かけると結構ドキドキした。
たくさんの知り合いから、呂太夫師匠のお人柄がよくわかった、師匠愛にあふれている、などとお褒めいただいた。まぁ、あんたの文章あきまへんで、とか言う人はいたりしない。それでも、褒めてもらえると素直にうれしくて、ほっとした。
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