塩崎恭久厚生労働相は20日、政府の規制改革推進会議が審査の一元化など抜本的な見直しを求めている社会保険診療報酬支払基金を視察した。視察後の会見では支払基金の改革をデータヘルス改革の柱に位置づけ、「支払基金業務効率化計画・工程表」を今月末までに公表する方針を示した。
現職大臣が支払基金を視察したのは、2003年に民間法人化されてから初となる。塩崎厚労相は保健医療におけるICT活用の現状について、「縦割りの弊害でICTのメリットを国民が十分享受できていない」と指摘し、国民が自らの健診データなどを健康増進に活用できるようなパーソナルヘルスレコード(PHR)システムへの改革が必要と訴えた。その上で、「たくさんのデータを保有する支払基金は医療の質の向上と国民負担の軽減を可能にするデータヘルス改革の大きな柱となる。ICTとビッグデータを最大限活用した新たな役割を描くため、厚生労働省と支払基金が一体となって、支払基金改革にとどまらず保健医療政策全体の改革を加速させていきたい」と支払基金改革の重要性を改めて強調した。
塩崎厚労相は、画面審査における審査事務のデモンストレーションや審査委員・職員による審査の現場などを視察。「ICTの活用がまだ十分でないことが分かった」と感想を述べた上で、『規制改革実施計画』を受け厚労省が設置した有識者検討会報告書が作成を求めている「支払基金業務効率化計画・工程表」を今月末までに公表する方針を示した。
このほか、支払基金の支部間で審査にバラつきがある点について「診療報酬自体が幅のある解釈が可能な設定になっていることも要因。そこを明確にしていくことも考えていく必要がある」との考えを示した。