神経芽腫は胎生期の神経堤細胞を起源とする細胞ががん化したものであり,自然退縮,分化成熟するものから遠隔転移をきたすものまで存在し,多様な様相を示す。また,年齢も新生児から幼児・学童までと広い。そのため,リスクに応じた治療選択を必要とする。近年,病期分類,リスク分類は国際的に標準化され,INRGSS(International Neuroblastoma Risk Group staging system)に統一され,低リスク・中間リスク・高リスクに分類し,リスク別に治療が行われる。リスク分類は病期,年齢・病理組織診断,分子生物学的因子により分類される。病期は限局例(L1多臓器浸潤なし,L2多臓器浸潤あり)と転移例(M,MS)に分類され,年齢は18カ月より上か下かでわける。
病理組織はINPC(International Neuroblastoma Pathology Classification)分類により未熟性を加味して診断され,分子生物学的因子にはMYCN遺伝子,DNA ploidy,11q異常が使用される。この中でMYCN遺伝子は予後と強い相関を示した因子である。高リスク群はMYCN増幅症例と18カ月以上のM期症例が中心であり,世界的にもいまだ3年無増悪生存率は40%台である。高リスク群に対する治療は多剤併用寛解導入療法+骨髄破壊的大量化学療法+局所放射線療法+手術が標準治療となっているが,その中で局所遅延療法として寛解導入+大量化学療法が局所治療に先行する臨床研究が行われている。また,再発抑制に対してはドラッグラグを解消するために抗GD2抗体免疫療法などの治験が行われている。
【解説】
中田光政*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科 *2同教授