日本感染症教育研究会(代表世話人=笠原敬奈良県立医大准教授)は2日、薬剤耐性対策をテーマに都内でセミナーを開いた。グラム染色を行う保険薬局薬剤師の瀧藤重道氏(このみ薬局)の発表が注目を集めた。
有料老人ホームへの訪問診療に同行している瀧藤氏がグラム染色を行うようになったのは、かぜや膀胱炎、蜂窩織炎、肺炎、熱のすべてに経口キノロンが処方されるなど、抗菌薬処方の状況に疑問を持ったことがきっかけ。ただ、成書に基づき処方変更を提案しても一蹴されていたという。
瀧藤氏は、「グラム染色によって処方提案を受け入れてもらいやすくなり、施設職員の感染症の理解も深まった」と述べるとともに、抗菌薬処方に介入するようになった結果、ある施設では2016年に、マクロライド、第3世代セファロスポリン、全抗菌薬の処方率が13年比で50%以上削減したことを紹介した。課題については、「国は薬局でグラム染色をすることを想定していない」として、人件費が持ち出しであることを指摘した。