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小児に対する生体肝移植の現況と問題点【累積生存率は良好だが,移植の決断時期のジレンマへの対応と脳死肝移植の推進も課題】

No.4878 (2017年10月21日発行) P.61

林 祐太郎 (名古屋市立大学大学院医学研究科小児泌尿器科学分野教授)

鈴木達也 (藤田保健衛生大学医学部小児外科学講座教授)

登録日: 2017-10-21

最終更新日: 2017-10-17

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  • 小児に対する生体肝移植の現況と問題点について,藤田保健衛生大学・鈴木達也先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    林 祐太郎 名古屋市立大学大学院医学研究科 小児泌尿器科学分野教授


    【回答】

    (1)肝移植の歴史

    世界初の臨床肝移植は1963年に行われ,そのレシピエントは胆道閉鎖症術後患児でした。また,89年に世界初の生体肝移植成功例が報告され,このレシピエントも胆道閉鎖症でした。そして,わが国での初の生体肝移植も89年に胆道閉鎖症術後患児に対して行われ,以後わが国では生体肝移植が広まっていきました。

    (2)わが国における肝移植症例の推移

    2015年末までの総肝移植数は8387例であり,死体肝移植数が321例(脳死肝移植数が318例,心停止肝移植数が3例),生体肝移植数が8066例でした。脳死肝移植数は,10年に「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」が施行されて以後,年間40例を超え増加しています。一方で生体肝移植は,05年の年間566例をピークにそれ以降は若干の減少に転じ,ここ数年は年間400例前後で推移しています1)

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