国家資格としての心理職が誕生しようとしている。9月に公認心理師法が施行され、来年中には第1回の試験が実施される予定だ。新資格が医療現場にもたらす影響とは。自身も臨床心理士資格を持つ、三井記念病院精神科の中嶋義文氏へのインタビューを踏まえ、紹介する。
心理職の認定資格は、代表的な「臨床心理士」をはじめ数多く存在するが、それらはすべて民間認定資格だ。国家資格化に向けた議論は古くからあったが、頓挫を繰り返してきた。比較的記憶に新しいのは、2005年の「臨床心理士及び医療心理師法案」(いわゆる2資格1法案)。
当時を振り返り中嶋氏は、「医療領域で働く専門職で唯一国家資格がなかった心理職を問題視し、医療心理師国家資格制度推進協議会が医療領域での国家資格化を進めようとする一方で、臨床心理職国家資格推進連絡協議会は、1988年に民間資格として成り立った臨床心理士を国家資格化しようとしていました。別々に存在していた2つの流れをまとめようとした2資格1法案は、立て付け上無理があるとして、国会上程には至りませんでした」と説明する。
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