高齢者の定義を65歳以上から75歳以上に引き上げたらいかが?
2017年1月5日、日本老年学会がこう提案したときは驚きました。75歳まではまだ若い、高齢者ではないと言われてもねぇ、そんな年まで働きたくないなぁ、というのが本音です。
65歳で年寄り扱いされるのは嫌だけど、還暦前でも身体の衰えが顕著な方がいるのも事実。夫も58歳にして悪性腫瘍で亡くなりましたから、本人はもとより、妻である私も遺族年金がもらえません。賃金から強制的に徴収されていたのに実際にはもらえないということは、体よく取り上げられたのと同じこと。うーむ、払った分だけは無理としても、もうちょっと頑張って生きていないと悔しいな。
3年前、まだ夫婦ともども元気で死は遠くにあると思っていたときは、65歳まで働き、それ以降は趣味と旅行を楽しむことに年金を当てようと目論んでいたのですが、絵に描いた餅に終わってしまいました。
そうなると、今度は残された私が老後を考える番です。なぜなら、女性である私のほうが、彼より早く年金を受け取る権利があるらしく、銀行から「年金の使い道」というパンフレットが送られてきたのです。そうか、私のほうこそ年金年齢だったのね。
何歳から年金を受け取るのが得なのか、ここが難しい。明日、死ぬかもしれないが、90歳まで生きているかもしれない。突然死んでしまったら、跡取りのいない由富医院の始末に困る。まだ惚けていないうちに円滑な継承をしたいものだ。よれよれのおばあさんになってからリタイアしてもつまらないから、元気が残っているうちに、第3の人生の計画を立てなければ。とまあ、還暦近くなったら課題がいっぱいで大変です。
プレデンシャル・ジブラルタ・ファイナンシャル生命の「2017年の還暦人に関する調査」によると、2017年に還暦を迎えた男女は145万人。その7割半が「実感がわかない」と感じているそうで、彼らが実感する肉体年齢は平均54歳、精神年齢は46歳。還暦人の5人に1人が独居のおひとりさま、半数近くはおひとりさま予備軍の夫婦2人暮らし。新米未亡人の私ですが、同類の方も多いのだと、妙に納得してしまいました。
誰しもそうでしょうが、人生は明日のことなどわかりません。平均寿命を見ると男性は80.98歳、女性は87.14歳(2016年の統計による)だそうですが、健康寿命はこれより短く、男性は71.19歳、女性は74.21歳で、日本老年学会が提案している高齢者の定義を下回っています。高齢者と呼ばれる前から既に病院通いをしているというのに、それでも社会に貢献しろ、と言われるのは辛いもの。元気な方にはそれなりに頑張ってもらって、そうでない方は体をいたわり、年寄り扱いされても僻むことなく、譲られたら素直にシルバーシートに座り、不安を感じたら運転免許を返納し、自分が加害者にならぬよう心掛けたほうがよいのではないでしょうか。
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