厚生労働省は24日、社会保障審議会医療部会(永井良三部会長)で、地域医療構想の達成に向け、都道府県知事の権限を強化する方向性を提示し、了承された。医療機関からの新規開設・増床の申請について、将来的な病床過剰が見込まれる場合に却下できる権限を都道府県知事に付与する。厚労省は、医師偏在対策における知事権限の拡大を定めた医療法・医師法改正案に共に盛り込み、今国会に提出する方針。
今年4月に始まる第7次医療計画では、2023年度までの病床整備の上限となる「基準病床数」が規定されている。一方、各都道府県が策定する地域医療構想では、2025年時点での医療需要(患者数)の推計に基づき、「構想区域」(原則2次医療圏)ごとの各医療機能の病床の必要量(必要病床数)が示されている。
現行では、構想区域内の病床数の関係性が「基準病床数>既存病床数>病床の必要量」となるケースにおいては、病床の追加的な整備が可能となっており、新規開設・増床の申請を法的に制限できる仕組みはない。
これを踏まえ厚労省は、過剰な医療機能への転換を中止できるよう、知事が医療審議会の意見を聴いた上で行使できる新たな権限を創設。既存病床数が将来の必要量に達している、または申請された増床によって必要量を超える場合、自治体や日本赤十字社が開設する公的医療機関に対しては「許可を与えない」、民間医療機関に対しては「申請の中止または申請病床数の削減の勧告」を可能とする。
さらに、民間医療機関が知事の勧告に従わなかった場合を想定し、厚労大臣にも新たな権限を設け、勧告を受けた病床の全部または一部を除いて保険医療機関の指定を行えるようにする。厚労大臣の権限強化については健康保険法の改正が必要となるため、厚労省は医療法・医師法改正案とは別に法案を提出する。