以前勤めていた病院の私の外来に、13歳の女の子が左足関節痛を訴えて来院した。3日前バスケットボールをしていて、足を捻って受傷した。他院を受診したが捻挫と言われたとのこと。3日経っても痛みが取れないということで、今回受診したという。診察してみると、左足関節前方に腫脹があり少し痛みはあるが、歩行は可能であった。腫脹部位の圧痛があり、足関節を外旋すると痛みが増大する。X線検査でJuvenile Tillaux骨折と診断した。
Juvenile Tillaux骨折は、小児期骨端線が閉鎖する時期に限って発生する。脛骨遠位端の骨端線の閉鎖は内側から始まり外側前方が最後に閉鎖するが、閉鎖する直前に起こるのがこの骨折である。その部分に前脛腓靱帯が付着しているため、足関節が外旋していく時に骨端線の部分で剥離骨折を起こす。同じ時期に足関節に底屈の力がさらに加わると、脛骨後方に骨折線が及びtriplane骨折と呼ばれる骨折になる。小児のある時期に限って発生するJuvenile Tillaux骨折に、私は大変興味を持った。というのは教科書には書いてあるが、医師になって10年以上経つのにまだ見たことのない骨折であったからだ。
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