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(2)臍帯ヘルニア─病態把握と治療戦略 [特集:小児ヘルニア治療の現状と新展開]

No.4805 (2016年05月28日発行) P.32

奥山宏臣 (大阪大学大学院医学系研究科外科学講座小児成育外科教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 胎生期の腹壁形成不全で臍帯周囲に腹壁欠損が生じ,心奇形や染色体異常などを合併する

    腹壁欠損部位により,臍上部・臍部・臍下部型に分類される

    直径5cm以上で肝脱出を伴う巨大臍帯ヘルニアは腹壁閉鎖が困難である

    保存的治療と外科的治療(一期的・待機的・多期的手術)がある

    1. 疾患概念・疫学

    胎児期の臍帯周囲の腹壁閉鎖不全が原因で,臍帯の中に腸や肝臓などが脱出した状態。発生頻度は4000~5000出生に1例とされる。心奇形や染色体異常などの重篤な異常を合併することが多く,予後はこうした合併症により決まる。

    2. 臍帯ヘルニアの形成過程

    胎生3~4週に胚内中胚葉に覆われたひだが頭方,尾方,左右側方に形成され,体の折りたたみに伴い臍の周りに進展して体の腹壁側が形成される(図1)。1つあるいはそれ以上のひだが臍部に至らないと腹壁の欠損が生じる。この時期の原始腸管は急速に伸長して腹腔内には収まらず,生理的ヘルニア状態で,胎生10週頃より体腔内に還納される。腹壁の欠損で還納過程が障害されると,羊膜内に腸管が脱出した臍帯ヘルニアとなる(図2)。

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